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ツタシミーという名前と、6回ふられた話
今の屋号にたどり着くまで、候補は6回ボツになりました。引き出す・伝える・紡ぐ…と考えては落ち、最後にたどり着いた名前。あとから“親しみ”も入っていたと気づいた話です。
「ツタシミー」という屋号は、正直、最初はふざけているように聞こえると思います。自分でも、口に出すたびに少し照れます。
ただ、この名前にたどり着くまでには、けっこうな回り道がありました。今日は、その失敗の記録です。名前で悩んでいる人の、気休めくらいになれば。
名前を、なめていました
独立を決めた時、名前なんてすぐ決まるだろうと思っていました。自分は言葉の仕事をしているわけですし。
これが、大きな勘違いでした。いざ考え始めると、驚くほど決まらない。いい響きを思いついても、翌日には安っぽく感じる。この繰り返しで、気づけば何週間も経っていました。
やりたいことは、はっきりしていました。人の中にあるものを引き出して、伝わる形にする。この意味を持つ名前がほしい。方向は決まっているのに、言葉にすると、ことごとくしっくりこないんです。
1回目・2回目:意味は良かった、けど
最初の候補は「ヒキダシ」でした。引き出す仕事だから、そのまま。我ながらいいと思ったんです。
ところが調べてみると、同じ業界に、同じ名前の会社さんがいました。ここに後から入っていくのは、さすがに気が引ける。あっさり取り下げました。
次に考えたのが「コエル」です。声を届ける、殻を超える。2つの意味をかけたつもりでした。ただ、これも似たサービス名がすでにいくつもあって、埋もれるのが目に見えていました。2回目も、静かにボツです。
3回目・4回目:似すぎていた
方向を変えて、「伝わる」から取ろうとしました。「ツタワ」です。伝わる、が名前になっている。分かりやすい。
でも、口に出してみると、有名な会社さんの名前とほとんど同じでした。並べたら、真似したように見えてしまう。これは名前として弱い、と諦めました。
じゃあ「ツタエ」ならどうか。伝える、そのまま。ここまで来ると、自分でも粘りが出ていました。ただ調べると、これも複数の会社さんが使っていて、ありふれていました。4回目も、同じ理由で落ちます。
5回目・6回目:無難に逃げた結果
少し疲れてきて、きれいな言葉に逃げようとしました。「ツムグ」です。紡ぐ。言葉を紡ぐ仕事に、ぴったりに思えました。
これが、あまりにありふれていました。同じ名前が世の中にあふれていて、検索しても自分が全然出てこない。名前で埋もれるのは本末転倒だと、我に返りました。
最後は「コトノハ」でした。言の葉。美しいけれど、美しすぎました。これも同名が多いうえに、自分の人柄とは少し離れている。きれいな言葉ほど、みんな同じことを考えているんだと、6回目にしてようやく学びました。
7回目に、名前を捨てて自分に戻った
6回落ちて、一度意味を探すのをやめました。かっこいい名前を探すから、みんなと同じ場所にたどり着くんだ、と。
そこで、自分の名字に戻りました。清水(しみず)。ここに「伝える」を足したら、どうなるか。伝える×清水で、「ツタシミー」。
口に出した瞬間、少し笑ってしまいました。締まりがないし、なんだか気の抜けた響きです。でも、その気の抜けた感じが自分にはちょうど良かった。先生ぶらず、友達に近い距離でいたい自分の人柄に、なぜか合っていたんです。
あとから、“親しみ”が住んでいた
名前を決めて数日後、ふと気づいたことがあります。「ツタシミー」の真ん中に、「シミ」がある。「親しみ」の音も入っているんじゃないか、と。
狙って三つ重ねたわけではありません。「伝える」と「清水」だけで作った名前に、後から「親しみ」が住みついていた。これに気づいた時は、なんだか報われた気持ちになりました。
6回ふられて、意味を探すのをやめて自分の名前に戻った。そうしたら、狙っていなかった意味が勝手についてきた。名前って、こうやって決まるものなのかもしれません。今は、この締まりのない響きを気に入っています。
― しみっち
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